
今回の取材の中で、渡辺家の田植えを見させていただきましたが、撮影の現場で思わぬアクシデントが発生し、作業が止まってしまいました。
一体何が起こったのでしょう?そして、その時、渡辺市長は!?
佐渡トキファンクラブの会員限定のコンテンツとして紹介したいと思います。
田植えの取材の日。
5月の連休、スカッと晴れた青空が気持ちが良い、さわやかな朝でした。まさに絶好の田植え日和です。
公務で超多忙の日々を過ごされる渡辺市長。この日も、島外出張から帰ったばかりのところ、取材を受けていただきました。
市長のご案内で、渡辺家の山の上の田んぼに到着すると、すでに息子さんたちが田植えの作業を進めていました。

すぐに田植機の運転を市長にバトンタッチ。颯爽と機械に乗り込み、作業開始です。普段の市長の姿しか見たことがない人には、とても意外な姿です。そして、本当に忙しい中、家業の農業を続けられていることに驚いてしまいます。

苗は他から買うのではなく、自家で育成されています。ハウスに並べてあった苗箱をみんなでトラックに積み込んで、田んぼに運びます。
健やかに育った苗が、さわやか春の風に吹かれて、軽トラの荷台の上で青々とした葉をゆらしています。


田植機が軽快に田んぼの上を走ると、どんどん苗が植えられていき、田んぼの上に若葉色の絨毯が敷かれたかのようです。
田んぼの向こうには青くかがやく海が広がり、空には鳥が飛んでいます。


作業は絶好調。
「このままいけば、今日中に全部終わるね~。」
そんなことを言っていたら…
田植機が田んぼの角を曲がり、数メートルくらい進んだところで…
(以下、動画です)
ずぶずぶ…
あれれ??

ああっ!

何ということでしょう。田植機が泥の中にはまり込んでしまいました。
こうなると、もう前にも後ろにも進めません。
救出が必要です。
実はこういったトラブルは佐渡の田んぼではよくあります。
佐渡の田んぼは粘り気が強い粘土でできているところが多いのです。
また、冬の間は雪や雨の日が多いため、春になっても田んぼの土の下は湿っていて、グチャグチャになっていることが多く、とても乾きづらいのです(トキをはじめ、水辺を好む生きものが佐渡の田んぼに多い理由の1つでもあります)。そんなところに農業機械が落ち込むと大変です。
早速みんなで泥の中に入って、機械を引き上げてみることにしました。人海戦術です。
うんっ!うんっ!



力強い男たちの声が田んぼに響き渡ります。
しかし、懸命の脱出作戦も空しく、重い機械は泥の底から一向に上がってくる気配がありません。これは困りました。

さて、どうしましょうか??
しばらく田んぼで待っていると…
遠くから大きなエンジン音が聞こえてきました。
カッコいいトラクターがこちらにやってきました!



重機で田植機を田んぼの中から引っ張り上げることにしたのです。

トラクターを田んぼの中まで入れて、ロープで田植機と連結します。




そして…
引っ張ります!


「グオン、グオン!」
大きなエンジン音を響かせながら、トラクターが後ろに下がっていきます。
・・・・
やりました。
見事に脱出成功です!


幸い、機械は壊れていないようです。良かったですね。
気を取り直して作業再開です。

田植えは、予定通り、この日のうちに終わりました。
渡辺市長、ご家族の皆さま、大変お疲れさまでした。
すばらしい取組を見させていただきました。

農業の楽しさ、やりがい、大変さ、そして、農家の皆さんのたくましさ!
たくさんのことを教えていただきました。
どうもありがとうございました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(写真・文:服部謙次)
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