佐渡トキファンクラブ

世界農業遺産の島・佐渡から贈る人とトキの共生の物語


佐渡島の美しい棚田の村、片野尾を訪ねるトキツアー

 ここでは佐渡トキファンクラブ主催で2024年7月27日に開催したトキのエコツアーの様子を紹介します。
 2025年の計画が決まりましたら、メルマガやSNSでお知らせします。お楽しみに!

 佐渡島の南東部の海沿いに横たわる片野尾(かたのお)集落とトキの森公園を訪ねる旅です。この日は全国からトキを愛する10名の会員に参加いただきました。
 朝、両津港に集合です。バスに乗り込むと、ひたすら海沿いの道を走ります。きれいな佐渡の海と古い家の町並みがどこまでも続きます。離島ならではの明媚な風景に、期待もどんどん高まっていきます。
 車内には片野尾の農家も同乗いただき、軽妙なトークでガイドをしてくれました。名所の前を通る度に楽しい解説が飛び出し、場を和ませてくれました。

 

 片野尾に到着すると、地域の農家の皆さんがお出迎えしてくれました。

 身支度をした後は、早速、山の上にあがり、農家に案内してもらいながら、棚田を散策しました。

 片野尾棚田は、農林水産省の「つなぐ棚田遺産」にも認定された名所。また、周辺集落、野浦・月布施とともに「日本の里100選」にも選ばれています。正に美しい村、片野尾です。

 片野尾の棚田の特徴は、何といっても、海に向かって広がる眺望の良さと迫力です。このツアーでは、地元の人しか行けない絶景スポットに特別にご案内いただきました。

 圧倒的な景観美を楽しみながら、棚田を守っている農家から聞く棚田の歴史と保全の重要性。すばらしい内容でした。

 旅の思い出に、棚田をバックに集合写真を撮影。
 トキの学びを求めて各地からやってこられた皆さんは、知らない人同士なのに、昔から知っているような、そんな不思議な連帯感が生まれていました。普通の観光ではまず味わえない体験です!


 次は田んぼとビオトープで生きもの観察です。トキがいつでも帰ってこられるようにと地域の皆さんで整備している、大切な場所です。

 宝石のように美しい姿をしたイトトンボがあちこちで飛び回り、水の中にはかわいらしいゲンゴロウやドジョウたちが元気に泳いでいます。

 網を持って思い思いの場所で捕獲作戦開始です!ほどなく、あちこちで歓声があがります。懐かしい「夏休み」の思い出がよみがえってきたようですね。

 短時間でしたが、多種多様な生きものたちを見つけいただきました。

 片野尾は正に生物多様性の宝庫。

 トキが最後までここで暮らしていたというのも納得です。豊かな里山の自然がしっかりと残る、すばらしい環境であることを皆さんで実感していただけたようでした。
 

 


 棚田の魅力を楽しんだ後は、農家のお母さんたちと一緒に昼食づくり体験!

 もみがらを燃料にして炊ける「ぬか釜」で片野尾棚田のお米の炊飯に挑戦!

 結果は…とてもおいしく炊き上がりました! お米自体がおいしいのはもちろんのこと、香ばしく強い炎と羽釜で炊いた、そしてみんなで食べるご飯の味は格別です!


 おかずもみんなで作りました。

 参加者の皆さんで海からサザエをあげてもらい、壺焼きにしたり、殻から出して汁物に入れたり。地元の漁師さんがつくった佐渡のソウルフード「いごねり」も登場!里山と里海の新鮮な幸をつめこんだ、豪華すぎるランチが完成しました。


『いただきますっ!』

 一口二口と食べて、『おいしいっ!』と幸せに満ちた声が飛び出します。

 お食事をしながら片野尾の皆さんと楽しくお話をして交流をしていただきました。

(ツアーの中でこの時間が一番楽しかったという声も)


 片野尾集落の魅力はトキと棚田と海だけではありません。村の皆さんで伝統芸能の歌舞伎を守り伝えてこられています。地元で長年取り組まれてきた方から、歌舞伎について貴重なお話を聞かせていただきました。

 また、生きもの調査の結果をみながら、田んぼの生きものの豊かな世界と私たちがお米を食べること、そしてトキの関係について、皆さんと一緒に考えながらお話をしました。

 単なる観光では終わりません。深い学びの時間となりました。


 名残惜しさもありながら片野尾を離れます。
 バスに乗った皆さんに向かって地域の方が手を振りながら、「また来てね~!」と元気に声をかけてお見送りをしてくれました。
 なんだかとても温かい気持ちになりました。トキのふるさとを守ってきた方々のやさしさにふれたような気がしたのでした。

 田んぼの風景が続く島の中央部へとバスで移動します。
「野生のトキ」に会うために。
 だけど、実はトキは結構な暑がり屋さん。真夏の昼間は外にはあまり出てこないので、今回は難しいかも…と思っていたら、参加いただいた方が田んぼの畦で餌を探しているトキを見事見つけてくれました!
 双眼鏡を使ってじっくりウオッチ。
 畦を歩いたり、稲の中に顔を突っ込んだり、元気に活動するトキの仲良しトリオ(家族?)の姿をしっかりと観察できました。

「やっと会えた!」

 佐渡に行ってトキを見るのが長年の夢だったという方が、感激されている姿がとても印象的でした。

 最後の目的地、トキの森公園へ。
「トキ愛いっぱい」の市役所の職員から詳しく解説をしていただきました。
 トキの詳しい生態や保護の歴史だけでなく、ここでしか聞けないトキの裏話もたくさん!さすがトキファンクラブの皆さん、熱心に聞きながら、しかも楽しく学んでいただけたようでした。


 朝から夕方まで佐渡のトキ三昧の1日。
 両津港で解散するころには、すっかりお客さん同士で和気あいあいと話をされていて、すっかり「トキ友」です。
 佐渡島の自然・食・農・人の魅力がぎっしりと詰まった、本当に「欲ばり」なトキのツアーでした。

 ご参加いただいた方、これに懲りずにまた佐渡のトキと人に会いに来てくださいね!


 今回は残念ながら都合が付かず参加できなかったという方もいらっしゃいました。次回のツアーにはぜひ参加くださいね!

 遠くからお集まりいただいた皆さん、片野尾の農家の皆さん、佐渡観光交流機構の皆さん、事務局の友人など、多くの方々の力によって実現した企画です。どうもありがとうございました!

 

(掲載写真の無断複製・転載禁止。著作権は撮影者個人に帰属します)